スマホアプリ「ライフログ」と「getlostbot」(2012年9月、日経パソコン)

スマホアプリ「ライフログ」と「getlostbot」に関連する日経パソコンの記事です。(元の記事を河瀬大介が一部編集しました。)

人間関係や食習慣を改善

アドレス帳に登録してある知人と、相手ごとの連絡履歴。スマートフォンに保存されたこれらの情報は、持ち主の交友関係の縮図ともいえる。そこに目を付けたアプリが、国立情報学研究所の「人間関係向上計画」だ。

スマートフォンによる通話やSMS、Gmailの履歴

解析の対象とするのは、スマートフォンによる通話やSMS、Gmailの履歴。アドレス帳に登録されている知人との連絡の頻度などを基に、その人との距離の近さや絆の強さを可視化して表示する。一定期間の距離の推移を動画で見ることも可能で、疎遠だった人との距離が徐々に近づいていくさまもはっきり分かる。

お節介

最近連絡を取っていない人に連絡を取るよう勧める実験もしている。お節介と思われるのではとの危惧もあったが、「その人のことを思い出すきっかけになる」と好評も得られた。「切れそうで切れない関係を活性化できる」(国立情報学研究所 情報・システム研究機構 新領域融合研究センター 融合プロジェクト特任研究員 鈴木努氏)という効果がある。

毎度の食事を写真に撮ってWebサーバーにアップロード

東京大学大学院情報学環の相澤清晴教授は、食事に関するライフログのシステムを開発している。ユーザーは、毎度の食事を写真に撮ってWebサーバーにアップロードするだけでよい。システムは蓄積されたデータを使って、その人の食事の傾向を明らかにする。

主食、主菜、副菜、果物、乳製品

例えば、食事のバランス。画像の色や輪郭、明るさなどの情報を基に、主食、主菜、副菜、果物、乳製品がそれぞれどの程度含まれているかを推定する。解析結果に誤りがある場合は、手動で訂正することも可能だ。

画像を類似度によって自動分類

画像を類似度によって自動分類する研究にも取り組んでいる。パンとヨーグルトの画像、弁当の画像など、食事の内容によって画像がグループ化される。「ただ画像がたまっているだけでは、すぐに傾向が把握できない。自動分類することで、1カ月のうちに自分がどれを何度食べたか、といったことが分かる。当人にとって新たな視点を与えられる」(相澤氏)。現在は、こうした結果を基に適切な食事内容を提案したり、生活習慣病の予防や糖尿病治療に役立てたりするための研究を進めているという。

過去の行動パターンから推測

自分の未来を予測するアプリ

ライフログを基に、自分の“未来”を予測するアプリの開発も進んでいる。東京大学大学院情報理工学系研究科 廣瀬通孝教授の研究室による「未来日記」だ。既に決まっている将来の予定と、その人の過去の行動パターンに基づいて、先々の忙しさを推測する。

日々のスケジュール帳には反映しにくい事柄

例えば「論文を3カ月後までに仕上げる」といった長期の予定は、日々のスケジュール帳には反映しにくい。だが作業としてはかなりの負荷が発生し、きちんと管理できなければ締め切り間際に大変な目に遭う。そこで未来日記では、過去の当人の行動記録などを基に、未来の作業状況を予測する。

蓄積された過去のデータ

「未来はこれくらい大変になるということが分かれば、現在の当人の行動が変わる。これはある意味で、時間軸を超えているということだ」。廣瀬氏は、ライフログの可能性をこう語る。蓄積された過去のデータは、未来を見通すための材料として使えるわけだ。

スマホの機能強化

今後、スマートフォン(スマホ)の機能強化やアプリの多様化が進めば、さらに多くのログが残せるようになるだろう。「特定のテーマのログが複数あって、それを合わせたものが個人のライフログになっていくのではないか。それぞれのログを整理した上で、それらを集約することができれば、生活全般を見られるようになるだろう」(相澤氏)。ライフログを基に、未来の自分の姿を精緻に垣間見られる日が来るかもしれない。

Android向けアプリ「人間関係向上計画」

国立情報学研究所

国立情報学研究所が公開するAndroid向けアプリ「人間関係向上計画」。スマートフォンの通話やSMS、メールの履歴などを基に、アドレス帳に登録されている人との距離の近さや絆の強さを推定する。

東京大学のFoodLog

東京大学の相澤教授の研究室が公開するWebサービス「FoodLog」。メールで送信した写真がアップロードされる。写真を基に食事バランスを自動判定する。食事バランスの推移をグラフ表示し、食生活を見直すきっかけにできる。食事を規則正しく取っているかを把握することも可能だ。